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【第1話】
2017.05.15

「オールラウンド」か「とんがる」か?

 長年この業界で生きてきていると、いろんなタイプの生徒に出会います。性格的に几帳面な子、ざっくり語る子、コツコツやる子、土壇場の火事場の馬鹿力を出す子、いや、ほんとにおもしろい。その子たちのそこから先の人生を垣間見るような瞬間があります。

勉強面においても、苦手教科がない子もいます。いわゆる平均的にできる子、これはこれでバランスの取れた「オールラウンダー」ですばらしいことだと思います。なかなかそういう子ばかりじゃないですけどね。
そうかと言えば、英語はかなりきびしい点をもらってくるのですが、数学だけは平均点より25点以上取ってくる子もいます。バランスよくやろうよ、と最初は思っていました。でも、よく考えたら、入試なんて、総合点で決まるわけだし、時間をどうバランスしていくかという作戦も大きなポイントであるわけです。

大切なのは苦手教科で平均に近い点をとることを目標にします。80点、90点なんてねらわなくていいんです。もちろん、苦手教科ばっかりやれば、その科目の得点は伸びると思います。でも、不思議なもので得意科目が取れるようになると、他の科目もそれに引っ張られて上がって来ます。得意科目は前回より5点アップを目標にします。伸びしろがある方が個人的にはおもしろいと思います。そして、何かがとんがっている子のほうに興味をそそられます。

世の中、オールラウンダーばかりだと、技術革新はできないと思うのです。世の中って何かにとんがっている人が集まって組織ができているのです。オールラウンダーは必要ですが、多くは必要ありません。官僚とかの東大卒の人たちはオールラウンダーかもしれませんね。

私は、「尖った」(とんがった)人により好感を持ちます。じつは今日、今年の卒業生で近畿大学に合格した生徒からLINEでメッセージが届きました。彼は昔から数学は、はげしくとんがっていました。英語はさっぱりでした。(個人的にはすごく残念なんですが)。大学の学部全体488人中1位だったそうです。もちろん、私はすごくそのメッセージがうれしくて、みんなに話してあげました。彼のこと知っていましたから。
彼は奇跡の男です。模擬テストの判定はE判定でしたが、近大の3学部ともみごと合格を勝ち取りました。もっと英語をやらせたかったんですが、近道は、配点が高く、点数の開きが出やすい数学だと思ったからです。
ほんとに、彼こそ、奇跡の男、「トンガリマン」そのものでした。


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